MENU

【静岡県掛川市】静かに佇む安倍晴明ゆかりの地「晴明塚」を訪ねて〜田園に眠る伝説と、穏やかな時間のなかで〜

日下部信親

こんにちは、日下部です。静岡県掛川市大渕。広がる田園と、少しひんやりとした森の空気。
その静かな一角に、「晴明塚(せいめいづか)」と呼ばれる不思議な塚が佇んでいます。

陰陽師・安倍晴明が妖怪を封じたと伝えられるこの塚には、長い年月を経てもなお、人々の祈りと想いが込められてきました。
今回は、そんな晴明塚を、ノブさんとマミさんのふたりと一緒に訪ねてみたいと思います。


目次

のどかな田園に残された“塚”

掛川市の市街地から車で南に20分ほど走ると、少しずつ景色が変わっていきます。
コンビニの数も減り、田畑が広がるのどかな農村風景。
その一角に、ひっそりと佇むのが「晴明塚」です。

晴明塚と刻まれた白い石柱、囲いの中に積み上げられた無数の石、中央に置かれた丸みのある大きな石。
そして祠の前には、五芒星(せいめいのほし)が描かれた石板。

その姿は、静かながらも不思議な存在感を放っています。

マミさん

ねえノブさん、“晴明塚”って、どんなところなんですか?

ノブさん

うん、掛川市の大渕っていう静かなところにあってね、陰陽師・安倍晴明が妖怪を封じたっていう話が残っている塚なんだよ


安倍晴明とは?

安倍晴明(921〜1005年)は、平安時代に実在した陰陽師です。
占いや天文学、暦の調整など、国家の重要な役割を担った人物として知られています。
その卓越した能力と数々の逸話から、死後も“伝説の陰陽師”として日本各地で語られるようになりました。

掛川の「晴明塚」も、そのひとつ。
妖怪が現れ、人々が困っていたところに晴明がやって来て、それを封じたという伝承が今も残っています。

マミさん

でも、どうして安倍晴明の名前がここに出てくるの?

ノブさん

平安時代の人なんだけど、日本各地に伝説が残っててね。この塚もそのひとつなんだよ


塚に立つ──静けさが語るもの

砂利道の先に、小さな囲いが見えてきます。
囲いの中には丸い石が積み上げられ、その中央にひときわ目立つ大きな石が置かれていました。

その前に立つと、自然と声を落としてしまうような、不思議な静けさに包まれます。
ここは観光地ではありません。でも、だからこそ、訪れた人が“感じる”場所なのです。


塚にまつわる不思議な言い伝え

晴明塚には、妖怪の正体を明確に記した記録はありません。
でも、人々が「ここには何かが眠っている」と感じ、それを敬い、恐れ、祈りを捧げてきた。
その“気配”こそが、この塚の魅力なのかもしれません。

昔は、夜になると近づかないようにしていたとか、塚に近づくと体調を崩すことがある──そんな話も語られていたそうです。

マミさん

封じられた妖怪って、どんな姿をしてたのかな…?

ノブさん

うーん、それは誰にもわからない。でもね、“わからない”っていうのが、逆にロマンを感じさせるんだよ


参拝の作法と祠の意味

祠の前には、手作りと思われるお賽銭箱が設置されています。
その横には五芒星、晴明を象徴する記号が描かれた石板。

訪れた人は、そっと手を合わせ、お辞儀をして立ち去る。
ここには、誰に見せるでもない、ひとりひとりの静かな祈りがあります。

そして、祠のまわりには、飲み物やお菓子などが供えられていることも。
それらを見るたびに、塚が今も“生きている”ことを実感します。

マミさん

ここ、ちゃんとお賽銭箱まであるね

ノブさん

うん、地域の人たちが大切に守ってる証拠だね


地元に受け継がれる想い

晴明塚は、掛川市が管理しているわけではなく、主に地元の住民によって守られています。
近所の方が時折草を刈り、石を整え、ゴミを拾い、お供えをする。

そうした“さりげない奉仕”が、この場所の空気をより一層、澄んだものにしているように感じられます。

マミさん

草がちゃんと刈られていて、すごくきれいに保たれているね

ノブさん

地元の方がずっと手入れしてくれてるんだろうね。ありがたいことだなあ


季節ごとの晴明塚の表情

晴明塚は一年を通して訪れることができます。
春には木漏れ日と桜の舞い、夏には木陰と蝉時雨、秋には枯れ葉が敷き詰められ、冬には凛とした空気と霜のきらめき。

それぞれの季節に、それぞれの“祈りのかたち”があるように思えます。

マミさん

春は桜、夏は蝉の声、秋は落ち葉、冬は霜… 季節がちゃんと生きてる感じがするね!

ノブさん

うん。訪れるたびに、違った空気がある。それも魅力だよね


アクセス情報と注意点

マミさん

ちなみにここって、どうやって行くのがいいんでしょう?

ノブさん

車が便利だけど、バスでも行けるよ。ただ、ちょっと歩くかな

日下部信親

バスでも行くことはできますが、夏は車で行くことを強くおすすめします。僕は2025年7月5日に撮影のため訪問しましたが数十分間の撮影だけでも熱くて大変でした。熱中症など最近の暑さには危険が伴います。健康には十分注意してお出掛けてください。

アクセス

  • 所在地:静岡県掛川市大渕
  • 最寄り駅:JR掛川駅
  • バス:掛川駅南口前から掛川大須賀線に乗りアイク前で下車。そこから徒歩15分ほど。
  • 駐車場:数台ほどのスペースあり

バスで行く場合は、本数が限られているため時刻表のチェックをお忘れなく。
また、晴明塚周辺は私有地も多いため、マナーを守って静かに訪れましょう。


周辺のおすすめスポット

1. 事任八幡宮(ことのままはちまんぐう)

言霊の神様として有名なパワースポット。

2. 掛川城

再建された木造天守と御殿が美しい、掛川の象徴。

3. 可睡齋

曹洞宗の名刹で、春はボタン、夏はユリが咲き誇る。


おわりに──“目に見えない何か”と向き合う場所

晴明塚は、訪れる人の心をざわつかせるような場所ではありません。
でも、そっと寄り添ってくれるような、不思議な“気配”がそこにはあります。

安倍晴明が封じたとされる妖怪の正体を、私たちは知ることができません。
それでも、ここに何かが“いる”という感覚を、多くの人が共有してきた。

その想像と信仰の積み重ねこそが、この塚の歴史なのです。

この場所に、もうひとつの祈りを

もしあなたが、日々の中でちょっと立ち止まりたいと思ったとき。
心を落ち着けたいと思ったとき。
静かに、誰にも見られずに手を合わせたいと思ったとき。

そんなときは、晴明塚を訪れてみてください。
そこには派手な案内も、土産物屋もありません。
でも、静かで穏やかで、心に染み入るような時間があります。

マミさん

派手な観光地じゃないけど、なんだか心に残る場所だったね

ノブさん

うん、こういう静かな場所こそ、大切にしたくなるよね


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次