諏訪原城跡|丸馬出と三日月堀をゆっくり歩く、50代夫婦の歴史散策

静岡県島田市にある、諏訪原城跡へ行ってきました。

諏訪原城跡には、華やかな天守や高く積み上げられた石垣、大きな櫓が並んでいるわけではありません。今も残されているのは、土を掘って造られた堀や、土を盛り上げた土塁、城の出入口を守る馬出などの遺構です。

何も知らずに歩けば、森の中に広がる草地や、自然にできた地面の起伏に見えるかもしれません。けれど、少し足を止めて周囲を眺めると、その高低差が偶然できたものではないことに気づきます。

敵をまっすぐ城内へ進ませないための堀。門の周囲を守る馬出。攻める側を上から見下ろすための土塁。それぞれの地形に、城を守るための意味が残されています。

特に印象に残るのが、丸馬出と三日月堀です。穏やかに見える土の斜面も、低い位置から見上げると、思っていた以上の高さがあります。

木々の間を風が通り、葉がかすかに揺れる中で堀を眺めていると、ここが武田氏と徳川氏の攻防の舞台だったことが、少しずつ現実味を帯びてきます。

50代の夫婦旅では、城跡をすべて歩き切ることだけが目的ではありません。気になる場所で立ち止まり、疲れを残さない範囲で歩く。無理に会話を続けなくても、同じ土塁を見上げ、同じ風景を眺める。そんな過ごし方も、今の年代だからこそ楽しめる旅の形だと思います。

諏訪原城跡は、歴史を急いで覚える場所ではありません。薬医門をくぐり、堀の曲線を眺めながら森の奥へ続く道を歩く。木々の向こうに広がる空を見上げる時間も含めて、自分たちの速度で戦国時代の城を感じられる場所でした。

この記事では、島田市の諏訪原城跡を、静岡ブーストらしく「50代夫婦が無理なく楽しむ歴史散策」として紹介します。


目次

第1章|諏訪原城跡は土の高低差を楽しむ山城

50代夫婦へ:城跡は全部を回らなくても楽しめる

城跡を訪れると、せっかく来たのだから、できるだけ多くの場所を見ておきたいと思うものです。本曲輪まで歩きたい。丸馬出や横堀も見たい。案内板もすべて読みたい。写真や動画を残し、続日本100名城のスタンプも押したい。近くの東海道の石畳にも寄りたい。

予定を考えていると、一日の中に多くの見どころを詰め込みたくなります。けれど、50代になると、土の道や坂道が思っていた以上に体へ残ることがあります。

膝や腰の重さ、足元を見ながら歩く緊張、夏の暑さ、帰りの運転、翌日に残る疲れ。そうしたことを考えると、「どこまで歩いたか」よりも、「どの場所が心に残ったか」のほうが、旅の印象を左右するようになります。

諏訪原城跡は、すべてを歩かなくても楽しめる場所です。最初にビジターセンターを見て、薬医門をくぐり、近くの馬出と堀を見る。土塁を下から見上げる。そのくらいでも、戦国時代の山城らしさは十分に感じられます。

体調や天候に余裕があれば、二の曲輪や本曲輪まで進む。少し疲れてきたら、今日はここまでと決めて戻る。城跡は逃げません。一度ですべてを見ようとせず、季節を変えてもう一度訪れるくらいの気持ちで歩くと、心にも体にも余裕が生まれます。

この散策の全体像

今回の散策は、諏訪原城跡第一駐車場から始まります。

到着したら、まずビジターセンターでジオラマや復元図を見て、城の全体像を確認します。その後、城跡入口から薬医門へ向かい、丸馬出と三日月堀、二の曲輪、横堀や土塁を見ながら本曲輪を目指します。最後は高台の地形を感じ、来た道をゆっくり戻ります。

この順番で歩くと、城の外側から中心部へ入っていく流れが分かりやすくなります。ただし、案内図を一度見ただけで、城内の配置をすべて覚える必要はありません。途中で今どこにいるのか分からなくなったら、近くの案内板を確認しながら進めば大丈夫です。

山城では、地図上の距離だけでなく、堀や土塁の高低差を体で感じることにも意味があります。森の中を歩く足音や、木の葉を揺らす風、少し暗くなった道の先に見える明るい草地。そこへ向かう時間も、城跡散策の一部です。

所要時間の目安

ビジターセンターと城跡の主要な場所をゆっくり見るなら、1時間から1時間30分ほど見ておくと落ち着きます。写真や動画を撮りながら、本曲輪まで丁寧に歩く場合は、2時間ほどあると安心です。

ただし、暑い日や雨上がりは、予定より短くても構いません。ビジターセンターと薬医門周辺だけを見る。丸馬出を一つ見て戻る。本曲輪までは進まず、二の曲輪で引き返す。そのような歩き方でも、諏訪原城跡の特徴には十分に触れられます。

50代の散策では、予定どおりに回ることより、気持ちよく駐車場まで戻れることのほうが大切です。

ノブさん

山城は、全部見ようとすると意外と足にくるね

マミさん

うん。今日は丸馬出をゆっくり見られたら、それだけでも十分だと思う

ノブさん

無理をしないほうが、景色もよく覚えていられそうだな


第2章|諏訪原城とは:武田氏と徳川氏が争った山城

牧之原台地に築かれた城

諏訪原城跡は、島田市金谷地区に広がる牧之原台地の北端近くにあります。標高は約212メートルから220メートル。本曲輪の東側は急な斜面になっており、築城当時の大井川も牧之原台地に沿って流れていたと考えられています。

背後を険しい地形に守られた「後ろ堅固の城」であり、自然の地形と、人工的に造られた堀や土塁を組み合わせた山城です。

現地を歩いていると、東側の地面が急に落ち込んでいる場所があります。現在は木々に囲まれ、斜面の先まで見通せないこともありますが、安全な位置から高低差を眺めると、城の背後から攻めることが難しかった様子を想像できます。

正面側には堀や馬出を設け、背後は自然の崖で守る。土地の形を細かく読み取りながら築かれた城だったのでしょう。

武田勝頼が築いたとされる諏訪原城

諏訪原城は、天正元年、1573年に武田勝頼が家臣の馬場信春へ命じて築かせたとされています。城内に武田家の守護神である諏訪大明神を祀ったことから、諏訪原城と呼ばれるようになったと伝えられています。

この場所は、駿河と遠江の境に近く、東海道や大井川周辺を押さえるうえで重要な位置にありました。武田氏にとっては遠江方面へ進むための拠点であり、徳川氏にとっては簡単に見過ごすことのできない城でした。

現在の城内は、鳥の声や木々の揺れる音が聞こえる静かな場所です。その穏やかな風景からは想像しにくいのですが、かつては二つの勢力が向き合う最前線でした。

徳川家康が攻略し、牧野城へ

築城から約2年後の天正3年、1575年に諏訪原城は徳川家康によって攻略されました。その後は牧野城と呼ばれ、徳川方の拠点として使われています。

現在残されている遺構には、徳川氏が城を使う中で改修した部分が含まれている可能性も指摘されています。諏訪原城跡は、武田氏が築いた城でありながら、徳川氏が使った歴史も重なっている場所です。

同じ土地に、異なる勢力の考え方や城づくりが残されている。そこも、諏訪原城跡を歩く面白さの一つです。


第3章|到着:最初にビジターセンターへ立ち寄る

第一駐車場から散策を始める

車で訪れる場合は、諏訪原城跡第一駐車場を利用できます。駐車場はビジターセンターと同じ敷地にあり、車を降りてからすぐ展示施設へ向かえます。駐車場は無料です。

到着したら、すぐに城内へ向かわず、一度荷物を整えます。飲み物を持ち、靴ひもを確認し、帽子や虫よけを準備する。カメラやスマートフォンも、取り出しやすい場所へ入れておきます。

車を降りた直後は、つい早く見どころへ向かいたくなります。けれど、ここで数分立ち止まり、空の明るさや風の具合を確かめておくと、その後の散策が落ち着きます。

ジオラマで城の形を見る

ビジターセンターには、諏訪原城の歴史や構造を紹介するパネル、推定復元図、発掘調査で見つかった陶器や鉄砲玉などが展示されています。静岡県立島田工業高等学校建築科が制作したジオラマ模型もあります。

城内を歩く前に見ておきたいのが、このジオラマです。丸馬出や三日月堀の位置、二の曲輪と本曲輪のつながり、急斜面になっている方向などを立体的に確認できます。

建物の残っていない山城では、事前に全体像を見るかどうかで、現地の地形の見え方が変わります。ただし、展示を見ながら、すべての用語を覚える必要はありません。

丸い場所が馬出。その前にある曲線状の低い場所が堀。本曲輪は城の奥。そのくらいを覚えておけば、歩きながら少しずつ理解できます。

続日本100名城スタンプも確認する

諏訪原城跡は、続日本100名城に選ばれています。スタンプはビジターセンター内の事務室入口横に設置されています。

閉館時間帯の設置場所について案内されている場合もありますが、状況が変わる可能性があるため、訪問時は現地表示を確認してください。

スタンプが目的でなくても、ビジターセンターには立ち寄る価値があります。城内へ入る前に10分から20分ほど展示を見るだけで、目の前の土の起伏が「意味のある遺構」として見えやすくなります。


第4章|薬医門をくぐる:城内へ入る感覚を味わう

復元された二の曲輪北馬出の門

城跡へ向かうと、復元された薬医門が見えてきます。この門は、二の曲輪北馬出で発掘調査によって確認された礎石をもとに復元されたものです。

土塁や堀だけが残る城跡では、どこが出入口だったのか分かりにくいことがあります。けれど、門が一つあることで、人が通った場所や、城内へ入る向きを想像しやすくなります。

門へ向かう道を歩くと、自分たちの足音が少しだけはっきり聞こえます。周囲の木々や道の幅、左右にある土の高まり、門を抜けた先の空間。正面からそのまま通り過ぎるのではなく、一度立ち止まって左右を見ると、出入口が土塁や馬出によって守られていたことが分かりやすくなります。

門越しの景色を見る

天気が良く、空気が澄んだ日には、角度によって薬医門の向こうに富士山を望めることがあります。

ただし、いつでも見えるわけではありません。雲が多い日もあり、春や夏は霞んで見えにくいこともあります。

富士山だけを目的にするより、門の向こうに広がる空や木々を、一枚の静かな風景として眺めるくらいがよいと思います。

門の内側から外を見る。外側から門越しに城内を見る。少し離れた場所から、門と周囲の土塁を一緒に眺める。同じ門でも、立つ位置を変えると印象が変わります。

門の前では急がない

薬医門は、城跡の中でも分かりやすい撮影ポイントです。門に着くと、すぐ写真を撮りたくなるかもしれません。

けれど、最初に一度くぐり、少し進んでから振り返るのもおすすめです。城外から見た門と、城内から見た門では、雰囲気が少し違います。

門をくぐり、少し進んでから足を止める。静かに振り返り、左右の土塁を見る。その流れをゆっくり味わうと、「城の中へ入ってきた」という感覚が残ります。


第5章|丸馬出と三日月堀:諏訪原城跡で最も見たい遺構

馬出とは何か

諏訪原城跡を歩くうえで知っておきたい言葉が、「馬出」です。

馬出とは、城の出入口の外側に設けられた防御用の区画です。敵が門へまっすぐ近づくのを防ぎ、進む方向を変えさせる。城内から出撃する兵を守り、門の前に兵が集まる場所をつくる。そのような役割がありました。

諏訪原城跡では、三日月形の堀と馬出を組み合わせた丸馬出が、良好な形で残っています。特に二の曲輪中馬出の三日月堀は、諏訪原城を代表する遺構の一つです。

地上からは形が分かりにくい

丸馬出と三日月堀は、上空から見ると形が分かりやすい遺構です。けれど、地上に立つと、どこが丸く、どこが三日月なのか、最初は分かりにくいかもしれません。

草に覆われた広い場所、少し低くなった地面、周囲を囲む斜面、土の盛り上がり。それらを一度に見ても、全体の形をつかむのは簡単ではありません。

そんなときは、一か所から理解しようとせず、少しずつ立つ場所を変えてみます。高い位置から堀を見下ろし、堀の曲線に沿って視線を動かす。馬出の中心を見たあと、外側から土塁を見上げる。角度を変えると、地形のつながりが少しずつ見えてきます。

夫婦で同じ場所に立っていても、見えているものが違うことがあります。「あちらから見ると、堀の形が分かりやすいよ」。そんな短い言葉を交わしながら歩くのも、城跡散策の楽しみです。

低い位置から土塁を見る

土塁は、上から見下ろすよりも、低い位置から見上げたほうが高さを感じやすくなります。

現在は草に覆われ、穏やかな斜面に見える場所でも、下から見るとかなりの高低差があります。もし自分が攻める側だったら、この斜面を登れるだろうか。上から見られている状態で進めるだろうか。堀を越えたあと、どちらへ向かえばよいのだろうか。

そんなことを考えながら眺めると、土の斜面が、城を守るための施設として見えてきます。

ただし、堀底や立入禁止区域へ入る必要はありません。整備された見学路や安全な場所から、角度を変えて眺めるだけで十分です。

丸馬出は急がず歩く

丸馬出周辺では、すぐ次の場所へ向かわず、少し時間を取るのがおすすめです。

正面から見たあと、横へ移動し、反対側から振り返る。案内板と実際の地形を見比べ、少し離れた場所から全体を見る。そのくらい時間をかけると、最初には見えなかった形が、少しずつ分かってきます。

風が通ると、斜面の草が静かに揺れます。草の動きに沿って視線を移すと、土塁や堀の線が見つけやすくなることもあります。

ノブさん

最初は、広い草地にしか見えなかったな

マミさん

でも、少し歩いて角度を変えたら、堀が丸く続いているのが分かってきたね


第6章|二の曲輪と横堀:広さと奥行きを感じる

二の曲輪は広場ではなく防御区画

二の曲輪へ入ると、比較的広い空間が現れます。建物が残っていないため、現在は広場や草地のように感じるかもしれません。

しかし、周囲を見ると土塁や堀があり、一つの区画として守られていたことが分かります。

曲輪とは、城内に設けられた平らな区画です。建物を置き、兵を集め、物資を保管し、敵の侵入を防ぐ。城の中では、それぞれの曲輪に役割がありました。

二の曲輪の中央に立ったら、広さだけでなく、周囲を囲む地形にも目を向けてみます。どこから入ってきたのか。本曲輪はどちらにあるのか。土塁はどの方向へ続き、馬出や門はどの位置にあったのか。

一度歩いてきた道を振り返ると、今いる場所と周囲の遺構がつながりやすくなります。

横堀は奥行きの方向から見る

横堀は、斜面に沿って横方向へ掘られた堀です。諏訪原城跡では、丸馬出だけでなく、横堀も良好な形で残されています。

横堀を見るときは、真正面から斜面を見るより、堀が奥へ続く方向に立つのがおすすめです。手前から奥へ細くなる堀、左右に続く土塁、途中で曲がる線、木々の間へ消えていく影。この方向から見ると、横堀の長さや奥行きが伝わります。

木々が風に揺れると、地面に落ちる影も少しずつ動きます。その光と影を眺めていると、堀の深さや斜面の傾きが、写真以上にはっきり見えてくることがあります。

木漏れ日が地形を見せてくれる

晴れた日は、木々の間から差し込む光が、土塁や堀に影をつくります。斜面の片側が明るく、反対側が暗くなると、高低差が分かりやすくなります。

城跡の風景は、すべてを明るく見る必要はありません。少し影が残っているほうが、土塁の高さや堀の深さを感じられることがあります。

午前中や夕方に近い時間は、低い角度の光が入り、地形の凹凸が見えやすくなります。木漏れ日の中を夫婦で並んで歩き、ときどき足を止める。若いころの旅のように、次の目的地へ急ぐ必要はありません。同じ場所を少し長く眺めることも、今の年代ならではの楽しみ方です。


第7章|本曲輪へ:城の中心部で立ち止まる

奥へ進むほど静かになる

二の曲輪からさらに進むと、本曲輪へ向かいます。本曲輪は、一般的な城でいう本丸にあたる中心的な区画です。

城内の奥へ進むにつれて、入口付近とは少し空気が変わります。人の声が遠くなり、木々が揺れる音や鳥の声が近くなる。足元の土や落ち葉を踏む音も、少しはっきり聞こえます。

本曲輪へ着いたら、すぐに写真を撮り始めず、一度周囲を見渡してみます。広さ、土塁、斜面、木々の向こうの明るさ、自分たちが歩いてきた道。建物が残っていなくても、城の中心となる場所に立っていることを意識すると、見え方が変わります。

東側の急斜面を見る

本曲輪の東側は、急な斜面です。諏訪原城が自然の地形によって背後を守られていたことを感じられる場所です。

安全な位置から眺めると、台地の上に城が築かれていることが分かります。木々が多い季節は遠くまで見通せない場合もありますが、地面が急に落ち込んでいることは感じられます。

自然の斜面を城の守りに使い、必要な場所へ人工的な堀や土塁を造る。戦国時代の城づくりが、周囲の土地と深く結びついていたことが分かります。

景色が見えたら無理に場所を探さない

諏訪原城跡からは、天気の良い日に富士山を望めることがあります。ただし、季節や天候、木々の状態によって、景色の見え方は変わります。

もう少し先へ行けば、よく見えるかもしれない。枝の向こうへ回れば、写真が撮れるかもしれない。そう思うこともありますが、見学路から外れて無理に進まないことが大切です。

景色が少しだけ見えた。空が広く感じられた。高台に立っていることが分かった。それだけでも、この場所に城が築かれた理由を考えるきっかけになります。

見えなかったものを残念に思うより、今見えている景色を、ふたりで静かに眺める。そのくらいが、諏訪原城跡には似合います。


第8章|撮影ポイント:静岡ブースト流に残したい場面

最初の一枚は薬医門と城跡の空気

諏訪原城跡で最初に撮っておきたいのは、復元された薬医門です。門だけを大きく撮るのではなく、手前の道や左右の木々も一緒に入れます。

画面の中央に門を置く、少し斜めから門と土塁を入れる、門越しに奥の景色を見せる、人物を小さく入れて門の大きさを伝える。数種類の構図を残しておくと、ブログの導入写真や動画の始まりに使いやすくなります。

薬医門へ続く道を少し広めに入れると、これから城内へ歩いていく空気も残せます。

丸馬出は斜めから撮る

丸馬出と三日月堀は、真正面から撮るより、斜め方向から撮るほうが形を伝えやすくなります。

手前に堀、中央に馬出、奥に土塁や木々。この三段階を意識すると、写真に奥行きが出ます。

広角で全体を撮ったあと、堀の曲線や土塁の端だけを切り取る写真も残しておきます。草の影、斜面の線、木の根、案内板と実際の地形。全景と細部の両方があると、記事の中で城の構造を説明しやすくなります。

低い位置から土塁を撮る

土塁の高さを伝えるには、カメラを少し低く構えます。地面を画面下に広く入れ、斜面を見上げるように撮ると、攻める側が感じたであろう高さを表現できます。

スマートフォンを地面すれすれまで下げる必要はありません。腰の高さ程度でも、普段の目線とは違う写真になります。

撮影するときは、必ず足元が安定した場所で立ち止まります。後ろへ下がりながら構図を調整しないことも大切です。

横堀は線を奥へ伸ばす

横堀では、堀が手前から奥へ続く場所を探します。画面の左下から右奥へ、または右下から左奥へ、堀の線を斜めに配置すると長さが伝わります。

手前に木の幹を入れるのも合います。手前の木、中央を走る堀、奥の土塁。三つの距離が重なることで、森の中に残る城跡らしい写真になります。

動画は固定カットを多めにする

諏訪原城跡を動画で紹介する場合は、歩き撮りだけでなく、固定したカットを多めに残します。

・薬医門を5秒
・門をくぐる場面を5秒
・丸馬出の全景を8秒
・三日月堀の曲線を8秒
・土塁を見上げる映像を5秒
・横堀が奥へ続く映像を8秒
・本曲輪の全景を8秒
・木々の間から見える空を5秒
・足元の土や落ち葉を5秒
・風に揺れる葉を5秒

こうした短い映像を重ねると、城跡の静かな空気を伝えやすくなります。カメラを速く動かすと地形の形が分かりにくくなるため、パンをする場合は、片側から反対側まで8秒から10秒ほどかけてゆっくり動かします。

ノブさん

城跡は、動きながら撮るより、立ち止まって地形を見せたほうが分かりやすいね

マミさん

うん。堀の曲線も、ゆっくり撮ったほうが形が見えるね


第9章|季節ごとの楽しみ方:遺構の見え方が変わる

春:新しい緑と土塁を見る季節

春の諏訪原城跡は、木々の芽吹きが始まり、城内がやわらかな緑に包まれます。明るい葉、土塁の斜面、木漏れ日、草の中に残る堀の線。冬の静けさから、少しずつ色が増えていく季節です。

暑さが本格的になる前なら、散策もしやすくなります。春の風に葉が揺れる様子を眺めながら歩くと、城跡の歴史だけでなく、今ここに流れている穏やかな時間も感じられます。

夏:濃い緑に包まれる山城

夏は木々や草が濃くなり、山城らしい雰囲気が強くなります。緑に囲まれた薬医門、木陰へ続く道、草に覆われた土塁、風に揺れる葉。映像としては、生命力のある城跡を撮りやすい季節です。

一方で、草が伸びると、堀や土塁の輪郭が見えにくくなることがあります。暑さや虫への対策も欠かせません。

・帽子
・飲み物
・タオル
・虫よけ
・歩きやすい靴
・必要に応じて長袖

真昼の暑い時間を避け、午前中に歩くと体への負担を減らせます。

秋:落ち着いて歩きやすい季節

秋は気温が下がり、城跡散策に向く日が増えます。夏の濃い緑が少し落ち着き、光もやわらかくなります。

斜めから入る光、土塁に落ちる木の影、乾いた落ち葉、少しずつ見えやすくなる堀の線。足元からは、落ち葉を踏む乾いた音が聞こえます。

派手な紅葉がなくても、山城らしい落ち着いた風景が広がります。夫婦で並んで歩き、ときどき同じ場所で足を止める。秋の諏訪原城跡には、そんな散策がよく合います。

冬:堀と土塁の形を見やすい季節

冬は草木の勢いが落ち着き、堀や土塁の輪郭が見えやすくなります。山城の構造をじっくり見たい人には、冬が向くことがあります。

木々の葉が少なくなり、場所によっては周囲の眺望も得やすくなります。低い冬の光が斜面に当たると、高低差も分かりやすくなります。

ただし、城内は日陰が多く、体が冷えやすくなります。上着や手袋を用意し、長時間立ち止まりすぎないようにすると安心です。


第10章|諏訪原城跡が向く人・向かない人

向いている人:地形から歴史を感じたい人

諏訪原城跡が向いているのは、建物だけでなく、地形から城を感じたい人です。

戦国時代の歴史が好きな人、山城を自分の足で歩きたい人、土塁や堀の形を見たい人、にぎやかな観光地より静かな場所が好きな人。夫婦で無理のない散策を楽しみたい人や、写真や動画を落ち着いて撮りたい人にも合うと思います。

城に詳しくなくても問題ありません。最初にビジターセンターで模型を見て、現地の案内板を確認しながら歩けば、少しずつ構造が分かってきます。

知識を試す場所ではありません。現地を歩きながら、少しずつ知っていく場所として楽しめます。

向かない人:天守や石垣を期待する人

一方で、分かりやすい天守や大規模な石垣を期待すると、少し物足りなく感じるかもしれません。

城郭建築や華やかな展示を見たい人、短時間で分かりやすい写真を撮りたい人、食事や買い物も同じ場所で済ませたい人には、諏訪原城跡だけでは希望に合わない可能性があります。

諏訪原城跡の良さは、土の中にあります。堀、土塁、馬出、曲輪、急な斜面、木々の間に残る道。何もないように見える場所を、少しずつ読み解いていく。その楽しさに気づけるかどうかで、印象が変わります。

夫婦で歩くなら速度を合わせる

城跡では、一人が歴史に夢中になり、もう一人が先に疲れてしまうことがあります。案内板をすべて読みたい人、先へ進みたい人、写真をじっくり撮りたい人、木陰で少し休みたい人。夫婦でも、楽しみ方は同じとは限りません。

そんなときは、すべてを一緒に理解しようとしなくても大丈夫です。一人が案内板を読んでいる間、もう一人は木陰で休む。写真を撮っている間、少し先で待つ。本曲輪まで行くか、その場で相談する。

同じ速度で歩けないときは、立ち止まる場所を合わせます。無理に会話をしなくても、同じ木漏れ日や、同じ堀を眺めていれば、それだけで一緒に過ごす時間になります。


第11章|歩くときの注意点:撮影よりも安全を優先する

歩きやすい靴を選ぶ

諏訪原城跡には、土の道や傾斜、木の根、落ち葉があります。雨の後は、地面が滑りやすくなることもあります。

サンダルや底の滑りやすい靴は避け、履き慣れたスニーカーやトレッキングシューズがおすすめです。新しい靴を試す場所というより、歩き慣れた靴で行くほうが安心です。

撮るときは立ち止まる

城跡で気をつけたいのが、スマートフォンやカメラを見ながら歩くことです。良い構図を探して後ろへ下がる、液晶を見たまま段差へ進む、足元を見ずに堀の近くへ寄る。このような動きは危険です。

歩くときはカメラを下げ、撮るときは立ち止まる。構図を変える前に、一度周囲を見る。この切り替えを意識するだけでも、安全性が高まります。

堀底や草むらへ入らない

もっと低い位置から撮りたいと思っても、堀底や整備されていない草むらへ入る必要はありません。足元が見えにくい場所には、段差や穴がある可能性があり、史跡を傷めることにもつながります。

見学路や現地の案内に従い、安全な位置から撮影します。城跡は、近づけば必ず良い写真になるわけではありません。少し離れた場所から撮ることで、堀と土塁の関係が分かりやすくなることもあります。

体力を帰りの分まで残す

山城散策では、行きより帰りに疲れを感じることがあります。本曲輪へ着いた時点で、散策が終わったわけではありません。駐車場まで戻る体力も必要です。

足が重い、汗が増えてきた、集中力が落ちてきた、足元を見る回数が減ってきた。そのように感じたら、早めに戻る判断も大切です。

良い写真をもう一枚撮るより、安全に駐車場へ戻る。そのほうが、次の休日にもまた出かける気持ちを残せます。


第12章|よくある質問:諏訪原城跡へ行く前に知っておきたいこと

所要時間はどれくらい?

ビジターセンターと薬医門、丸馬出周辺を中心に見るなら、1時間ほどでも楽しめます。

二の曲輪や本曲輪まで歩き、写真や動画をゆっくり撮る場合は、1時間30分から2時間ほど見ておくと安心です。暑さや体調によっては、短時間で切り上げても構いません。

入場料はかかる?

諏訪原城ビジターセンターは入館無料です。城跡も通常の見学で入場料はかかりません。

ビジターセンターの開館時間は、午前10時から午後4時までです。

ビジターセンターの休館日は?

休館日は、月曜日と、月曜日が休日に当たる場合の直後の休日ではない日、年末年始です。

臨時休館などが設定されることもあるため、訪問前に島田市公式サイトで最新情報を確認してください。

駐車場はある?

諏訪原城跡第一駐車場があります。ビジターセンターと同じ敷地から散策を始められ、無料で利用できます。

公共交通機関でも行ける?

JR金谷駅から徒歩で向かう方法や、島田市コミュニティバスを利用する方法があります。

徒歩の場合は、距離だけでなく高低差も考えておく必要があります。バスを利用する場合は、運行内容が変更される可能性があるため、事前に最新の時刻表を確認してください。

富士山は必ず見える?

天気が良く、空気が澄んでいれば、富士山を望めることがあります。

ただし、雲や霞、木々の状態によって見えない日もあります。富士山だけを目的にせず、門や土塁、堀の散策と合わせて楽しむのがおすすめです。

スマートフォンだけでも撮影できる?

スマートフォンだけでも十分に撮影できます。薬医門や三日月堀、土塁、横堀、木漏れ日、城内へ続く道などは、スマートフォンでも残しやすい被写体です。

広い風景は標準の1倍を基本にし、狭い場所で全体を入れたい場合だけ広角を使うと、ゆがみを抑えやすくなります。遠くの富士山や景色は、無理に大きくズームせず、城跡の風景の中に小さく入れる方法も合います。

持っていくと安心なものは?

諏訪原城跡を歩くなら、次のものがあると安心です。

・歩きやすい靴
・飲み物
・帽子
・タオル
・虫よけ
・スマートフォンまたはカメラ
・必要に応じて雨具
・季節に合わせた上着
・城内案内図

夏は暑さと虫への対策を厚めにします。冬は日陰で体が冷えやすいため、防寒着があると落ち着いて見学できます。


第13章|周辺と一緒に訪れたい場所

東海道金谷坂の石畳

諏訪原城跡の周辺には、旧東海道の金谷坂石畳があります。戦国時代の城跡を歩いたあとに、江戸時代の旅人が通った道を歩くと、異なる時代の歴史を一日で感じられます。

石畳を歩くと、靴底から硬い石の感触が伝わります。静かな坂道に、自分たちの足音が響く時間も、この地域らしい歴史散策の一部です。

ただし、石畳は足元が不安定になりやすく、雨の後は滑ることがあります。諏訪原城跡をしっかり歩いた日は、無理に長い距離を追加しなくても構いません。

菊川坂の石畳

菊川坂にも、旧東海道の石畳が残っています。坂道や茶畑の風景を楽しめる場所ですが、こちらも高低差があります。

城跡と石畳を同じ日に回る場合は、先にどちらを重点的に見るか決めておくと、疲れを調整しやすくなります。

ふじのくに茶の都ミュージアム

牧之原台地らしい、お茶の歴史や文化に触れたい場合は、ふじのくに茶の都ミュージアムも候補になります。

城跡の土の道を歩いたあと、館内で落ち着いて展示を見る流れも、50代夫婦の一日旅に合います。

すべてを一日に入れる必要はありません。諏訪原城跡を中心にする日、石畳を中心にする日、お茶の文化を楽しむ日。これからの休日を少し丁寧に過ごすように、何度かに分けて訪れるのもよいと思います。


第14章|基本情報

名称:国指定史跡 諏訪原城跡

所在地:静岡県島田市菊川1174周辺

ビジターセンター所在地:静岡県島田市菊川1174番地
諏訪原城跡第一駐車場敷地内北側

ビジターセンター開館時間:午前10時から午後4時

入館料:無料

休館日:月曜日、月曜日が休日の場合は直後の休日ではない日、年末年始

駐車場:諏訪原城跡第一駐車場を利用

問い合わせ先:島田市役所 博物館課文化財係

開館日や交通案内、城内の整備状況は変更される場合があります。訪問前には、島田市公式ホームページで最新情報を確認してください。


第15章|まとめ:諏訪原城跡は、立ち止まるほど城の形が見えてくる

諏訪原城跡は、静岡県島田市に残る戦国時代の山城です。大きな天守があるわけでも、華やかな石垣が続いているわけでもありません。最初から、城の形がはっきり見える場所でもありません。

けれど、ビジターセンターで模型を見てから歩くと、目の前の地面に意味があることが分かってきます。

薬医門をくぐり、丸馬出を見る。三日月堀の曲線をたどり、土塁を低い場所から見上げる。横堀が森の奥へ続く様子を眺め、本曲輪から急な斜面を感じる。

一つひとつは、土や草、木々がつくる静かな風景です。けれど、それらがつながると、敵の侵入を防ぐために考えられた城の姿が、少しずつ浮かんできます。

諏訪原城跡の良さは、急いで歩くと見えにくいかもしれません。立ち止まり、角度を変え、案内図と地形を見比べる。分からなければ、もう一度振り返る。風が木々を揺らす音を聞きながら、同じ道をゆっくり歩く。

そのように過ごすと、何もないように見えた場所が、少しずつ戦国時代の城に変わっていきます。

50代夫婦の歴史散策にも、諏訪原城跡はよく合います。すべてを回らなくてもいい。全部の歴史を覚えなくてもいい。疲れたら途中で戻ってもいい。

無理に会話をしなくても、同じ土塁を見上げ、同じ門をくぐり、同じ木漏れ日の中を歩く。それだけでも、ふたりで訪れた意味は残ります。

若いころの旅のように、多くの場所を急いで回らなくてもよくなった今。一つの場所を少し長く眺める時間が、以前より心地よく感じられることがあります。

諏訪原城跡を訪れたら、まずビジターセンターで城の模型を見て、薬医門と丸馬出をゆっくり歩いてみてください。そこから先へ進むかどうかは、その日の体調や天気に合わせて決めれば十分です。

武田勝頼が築き、徳川家康が攻略した諏訪原城。島田市金谷方面を訪れた際には、牧之原台地に残る土塁や堀を、自分たちの速度で確かめてみてはいかがでしょうか。

今回は、静岡県島田市にある諏訪原城跡を紹介しました。静岡に残る歴史や身近な風景を、これからも静岡ブーストで紹介していきます。

ノブさん

最初は土と草しか見えなかったけど、帰るころには城の形が少し分かった気がするな

マミさん

うん。急いで通り過ぎずに、何度か振り返ったのがよかったね

ノブさん

今度は草の少ない季節にも歩いてみたいね

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